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第137話

決してこちらを見ないで、何処を見ているのかわからない目で独り言のように話す真幸。 「母親の事は大事にしてくれてたよ。苦労した分、楽させてやりたいって。……まぁ、その反動が俺に来ただけ」 聞きたくないな、と思った。 両耳を手で塞いでしまいたいと。 だけど、そんな事は出来ない。何年も離れていたって真幸は大事な存在なのだから。 「俺がウリやってたのも知ってたし、そうなる事は予想してた」 「……それって、父親に……?」 「大人しく受け入れとけば母親には酷いことしないって約束だったからな。別に血が繋がってる訳じゃないし、バレなきゃいいやって」 簡単にそう言ってのけるけれど、真幸にとってそれは辛い出来事だ。 母親に対しての裏切り行為だし、ウリは辞めていたのに身内に犯されていたのだから。 「別にそこまでは良かったんだよ。夫婦仲が壊れなきゃ俺は慣れてるから」

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