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第140話

俺が何を考えているか真幸も解ってるんだろう。 立ち上がって近付いてきた真幸は俺の首に両手を回した。 真綿で締めるように、少しずつ、少しずつ指に力がこもっていく。 俺は真幸から目を逸らさずに、じっとされるがままになっていた。 「皐月、俺と一緒に死んでよ」 泣きそうな声でグッと急激に力がこめられる。 苦しい筈なのに、そんな感覚を感じられなくて本当に力がこもっているか分からなかった。 いいよ、と答える代わりに目を閉じた。 真幸に付き合ってやれるのは俺だけなんだろう。 自惚れでも何でもなく、俺も真幸も最期は一緒なんだって。 「皐月……」 いいよ、真幸。 お前にとことん付き合ってやる。 それでお前が満足するなら、俺の生命くらいくれてやるよ。 やがて指が解かれて急激に酸素が身体に回る。 息苦しさを思い出して噎せ返る俺を真幸はただずっと抱きしめていた。

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