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第143話

また居なくなった千鶴を探す気力は俺にはなかった。 過去の話を千鶴がどう受け止めたかも分からないまま、帰らない千鶴を待った。 千鶴が使っていた布団の中に潜って、何もしないまま二日間眠り続けた。 仕事しなきゃいけないのに、ここから動きたくない。何で人一人居なくなったくらいで俺はこんなにボロボロになっているんだろう。 昔、施設にいた頃は誰かが引き取られて去っていっても何も思わなかったし、やる気がなくなったりもしなかった。 真幸が引き取られて行った時だって、こんな風にならなかったのにいつの間に俺はこんなに弱くなったんだろう。 真幸と離れてまた普通の暮らしを始めた頃に拾った猫達は、俺の孤独を埋めてくれた。 それからは捨てられていると、見過ごせなくて犬だろうが猫だろうが連れて帰って来た。 直ぐに拾ってくる俺を近所のオバチャンがお人好しだと言って頭を撫でてくれたのを覚えている。

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