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第148話
まとめた金をそのまま枕元に置くと、布団の上に座って俺にもそこに座る様にと敷布団をポンポンと叩く。
黙って言う通りにした俺は千鶴の目の前に座った。
両手を広げた千鶴がそのまま俺を包み込む。ふんわりと千鶴の優しい匂いが鼻を擽った。
「あのお金ね、今までオレが仕事で稼いだお金なの」
そういう所で働いてるからてっきり借金でもあるのかと思っていたけど、そうじゃないのか?
そう聞こうとしたけれど、声には出さなかった。
千鶴が話し出すのをゆっくり待とうと思った。
「最初は借金のカタで働いてたけど、オレ、なにしてもオッケーだったから結構人気出てね、休みもなしで働いてたらあっという間に返済終わっちゃって。でもオレ、それしか知らないからずるずるそこで働き続けてたんだ」
まるで子供に絵本でも読み聞かせるかのように少し懐かしそうに一気に話し出す千鶴。
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