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第149話

「一流企業で働いてた父さんがリストラされて、再就職も上手くいかなくてプライドが傷付いたんだろうね。心がポッキリ折れて家に籠るようになった」 抱きついていた身体をゆっくり横に倒して、俺の膝を枕代わりにして頭を乗せる。 俺はその髪をゆっくりゆっくり撫でた。 「昼からお酒飲むようになって、母さんともケンカばっかり。そんな事してたらある日母さんは買い物に行ったきり帰らなかった。それが中学の時。残してあった貯金も母さんが全部持ってっちゃって、でも父さんは酒ばっかりだしオレは育ち盛りで腹が減るし……」 淡々と話しながらも、たまに息苦しそうに深呼吸をする千鶴。 俺はただ黙って千鶴の話を膝枕しながら聞いていた。 世の中には色んな親がいることを俺はよく知っている。千鶴みたいな境遇の奴も施設にいた。 千鶴を特別可哀想とは思えなかったけれど、千鶴も可哀想と思われたい訳じゃないんだと思う。

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