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第154話
いつか必要になる時が来るかもしれないからと、銀行へ行き千鶴名義の口座を作って貯金する事にした。
自分の通帳を初めて作った千鶴は嬉しかったのか、妙なテンションで小躍りしていた。
それまで稼いできた金は店のオーナーがきちんと管理していてくれたらしく、千鶴が辞めると告げた時も何も言わなかったらしい。
大金を手にして散々悩んでから俺の家に戻ってきた千鶴。
何を悩む必要があったのかと尋ねると、俺が本当に受け入れてくれるか不安だったと言った。
そんな不安も全部、俺が消してやろうと何度も千鶴の名前を呼びながら抱いた。
何度も好きだと囁いて、一緒に居ようと約束をした。
千鶴が戻って来てから一週間ほどして、河内が訪ねてきた。
相変わらず無表情で無口な河内は、自分も仕事を辞めて実家へ帰る事にしたと報告してくれた。
「今までありがとう」と河内が帰る時、千鶴が小さく呟いた。
河内は嬉しそうに笑顔を見せた。
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