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第155話
その後、家でブラブラするのも嫌だからとバイトを探し、ファミレスで働く事になった千鶴。
昼から夜まで働いて、それでもウリをやっていた時の金に比べたらまだまだ足りない稼ぎだったけれど、毎日楽しそうにしていた。
俺は相変わらず、コツコツと小説を書き続けた。
今まで書いたことのない恋愛要素が少し多めの甘ったるい話に、担当編集者の高橋は何故かニヤニヤしながら原稿を読んでいた。
毎日が夢みたいに穏やかに過ぎていく。
まだ千鶴に真幸との話を全て話し終えてはいなかったけれど、いつかそのうち話す日が来るだろう。
今はただ、千鶴がいて、猫が三匹いて、建付けの悪い玄関のついた古い一軒家があって、そこに俺もいて。
それだけで幸せで何もいらなかった。
こんな幸せがずっと続くと信じていた。
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