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第168話

慌てて施設に行くと爺さんは小さな棺桶の中で眠っていた。 最後まで俺を心配しながら逝ったと職員に聞かされ、自分の馬鹿さ加減に涙すら出なかった。 爺さんは施設を出て頑張っている元入所者や職員、たくさんの関係者に見送られて荼毘に付された。 真幸も青ざめた顔でやって来て最後の別れをした。 異様なまでに痩せ細った真幸を見て、コイツも死ぬんじゃないかと怖くなった。 そんな俺の考えを読んだのか、真幸は「俺は死なないから大丈夫だ」と言って帰って行った。 死ぬ時は一緒だと約束をしたから、真幸は黙って死んだりしない。 俺を残していなくなったりしない。 そう信じる事で抱えきれない哀しみを誤魔化していた。 何もする気が起きないままボーッと過ごしていると、爺さんが死んで一週間後、とある出版社の編集をしているという人間から電話が掛かってきた。

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