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第170話
俺に担当の編集者が付いて今まで書いたノートの山から良さそうな話をちゃんとした形にする事になった。
そうは言ってもド素人。一から勉強しながら少しずつ書いていき、その頃ノートに書いた時の気持ちを思い出したり、言葉が分からなかったりとスムーズには行かなかった。
結局ちゃんと形に出来るまで半年がかかった。
その間、たまに真幸が俺の様子を見に来てくれた。
俺は書く事で精一杯で真幸の変化に気付けなかった。
俺が足を洗った事で真幸も根津との関係を切っていた。
けれど、何度も薬を使われた事で真幸はそれに依存する様になっていた。
初めて形になった小説の見本を持って編集者が訪ねてきたその日、真幸のいた組の事務所で真幸が倒れた。
薬でボロボロになった身体が限界を越えてしまった。
運ばれた裏稼業専門の医者に薬物依存症と言うことがバレて、薬の横流しを疑われた真幸。
一緒につるんでいた俺も疑われ、久々に事務所に呼び出された。
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