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第182話
***
「――おい、千鶴」
居間から続く縁側には心地のいい陽の光が差して、千鶴と猫達が気持ち良さそうにうたた寝をしていた。
「千鶴、起きろ」
柔らかい色素の薄い髪をぐしゃぐしゃと撫でると薄らと目を開けた千鶴。
「ん……寝てた……」
「風邪ひくぞ」
「へーき、あったかいよ、今日」
目を擦りながら空を見上げる千鶴の横顔を見つめていた。
千鶴は随分と穏やかで優しい表情をするようになった。
あの、根津との出来事からもう半年が過ぎていた。
あの後帰宅して直ぐに千鶴の目は覚めて、変な薬を使われてないとわかりホットした。
置いたままにしていたバイクを取りに行くと根津からの手紙がわざわざセロハンテープで貼り付けてあった。
あれは絶対、俺への嫌がらせだと思う。テープのノリが微妙にくっ付いてベタベタしてたからだ。
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