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第183話

手紙には高校時代によく黒板に書かれていた文字と同じ筆跡で『新作、待ってる』と書かれていた。 馬鹿な先生だ。 あんたがいなけりゃ書かなかった。 今ここにいる俺はいなかった。 色んな事があったけど、先生はやっぱり何時までも先生だ。 その後、根津がこの街から姿を消したようだという噂を聞いた。 今どこで何をしているのかは誰も知らない。 まだ俺を憎んでいるのか、それともそんな事忘れて新しい何かを見つけているのか。 知る術はないけれど、出来ることなら明るい道を歩いていてほしい。 「そろそろ出掛けるぞ」 「はーい」 戸締まりをした後、千鶴と一緒に駅までのんびり歩いた。 今日は千鶴のバイトもあらかじめ休みを取って貰って前々から出掛ける予定だった。 電車に乗って二駅先の駅で降り、そこから少し歩く。 昔からよく見てきた町並みは新しい店が出来、反対になくなった店もある。

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