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第184話

千鶴はキョロキョロと物珍しそうに町並みを見渡しながら俺に付いてきた。 途中にある花屋に寄って、適当に花束を作ってもらう。 昔からある花屋であの頃はちょっとお節介なオバサンが店を切り盛りしていた。 今はオバサンの息子が花屋を継いだ。 「今年もそんな時期か」 慣れた手付きで花束を作りながら花屋の息子が懐かしそうに言った。 毎年、この日にはここで花を買うのが恒例だった。 花束を受け取り、会計を済ませると「たまには別の日にも顔を出せよ」と息子に言われた。 子供の頃からの顔馴染み。 そう、ここは俺がガキの頃に過ごした町だ。 千鶴が持ちたいと言うので花束を任せて、また歩き出した。 暫くすると見えてきた青い屋根の建物。 職員と子供達が毎年植えている家庭菜園の庭を通り抜けて入口に向かう。 いつもこの瞬間は緊張してしまう。

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