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1-2:午後2時の邂逅 (2)
なるほど、広い店内をぐるりと見渡すと、たくさんの人がいた。
土曜日の午後、しかもこの暑さともなれば、みんな考えることは一緒らしい。
ウェイターに連れられてたどり着いた席は、さっき話しかけられていた男性客の向かいの席だった。
すぐに水を持ってくると告げて去って行くウェイターを見送ってから、椅子を引いた。
「すみません、失礼します」
木の椅子に腰を下ろすと、向かいにいた男性が読んでいた本を閉じ丸いテーブルに置いた。
飲みかけだったクリームソーダを引き寄せ、俺を見る。
「いえ、どうぞ」
そして向けられたその淡い笑顔を前に、俺は、ただただ息を呑んだ。
こんなところで、会えるなんて。
まさかこれってーー運命?
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