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1-3:午後5時のアバンチュール (7)

「どうぞ」 短い一言に顔を上げると、神崎さんが玄関の扉を抑えて視線で俺を促していた。 神崎さんが取手に手を置いただけで、重い扉はいとも簡単にその侵入を許した。 マンションの入り口もそうだったけれど、いかにも部外者は入れそうにないセキュリティだったのに、神崎さんの前ではどこでもあっさりと扉が開いてしまう。 まるで、俺の心の扉も一緒に開こうとするかのように。 今ここで誘いざなわれるままに歩を進めてしまえば、もう引き返せなくなる。 この気持ちを認めざるを得なくなってしまう。 そうしたら、俺は。 それでも、俺は。 「ーーお邪魔します」

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