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1-3:午後5時のアバンチュール (23)

「んっ……っは、ぁ……」 噛み付くような口付けを繰り返され、肺からどんどん空気が奪われていく。 息苦しさに思わず唇を開けると、すぐにぬるりと何かが入ってきた。 逃げようとする俺の舌先を、神崎さんの舌がからかうように追いかけてくる。 そしてあっと言う間に絡み取られると、ますます口づけが深くなった。 「ふっ……んぅっ……」 何度も何度も角度を変えながら、唇を奪われる。 混ざりあった唾液が口の端から溢れて、顎を伝った。 神崎さんの左手が、脇腹を優しく撫でる。 かと思ったら、からかうように胸元を掠めて、またどこかへ行ってしまう。 くすぐったさに身体をよじるとすぐに腰を引き寄せられて、また舌を吸われた。 ふわふわと漂う意識は、酸素が足りないからなのか、それともーー 「んぁっ……!」 唐突に胸の突起を指で弾かれ、全身が跳ねる。 それと同時に鼻から甘い息が漏れて、隠しきれない羞恥にぎゅっと目を瞑った。 神崎さんがもう一度俺の唇を短く吸ってから、そのまま下へ下へと口づけを動かしていく。 首筋。 肩。 胸。 鳩尾。 脇腹。 臍。 脇腹。 鳩尾。 胸。 時折悪戯に舌先でからかいながら、俺の上半身を隅々まで優しく舐め回す。 「ふっ……ん、っくぅ……」 どこからこんな甘い声が出るのか。 これは本当に自分の声なのか。 恥ずかしい。 恥ずかしくてたまらないからやめてほしい。 そう言いたくて、言えない。 どうしよう。 ものすごく気持ちいい。 キスなんて唾液の交換でしょ、と誰かが言っていた。 その人は、私には生理的に無理、とも言っていた気がする。 それは本当なのかもしれない。 どちらのとも分からないまま唾液が混じり合ってだらしなく垂れている。 でもそんなことはどうでもよかった。 鼓動が速くなり、足の先の方からどんどん体温が上がっていくのがわかる。 ふと口づけが浅くなるたびにもどかしさが襲う。 足りない。 もっと。 もっと欲しい。

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