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2-3:午後7時のベーゼ (4)

身体は正直だ。 一度気持ちいいと感じてしまえば、あっという間に本能が理性を押し倒してしまう。 最初は突然の刺激に驚いていたそれも、神崎さんの手の動きに合わせてどんどん硬くなっていく。 神崎さんの指は、まるで俺の弱いところをすべて知っているかのように丁寧に愛撫する。 自分でも知らなかったイイところを発掘されれば、俺はもう悶えることしかできない。 その繊細な指には、魔法でもかかっているんだろうか。 そうじゃなければ、偏屈頑固ジジイで村人たちからは嫌われ者扱いだけれど、都市伝説にもなるような技術の持ち主の下で厳しい修行を積んだに違いない。 ……って、阿呆か。 だめだ。 思考がどんどん快楽の波に呑まれていく。 頭の中は相変わらずグルグルしているのに、そんなことなんて無視して、ただ与えられる快感に身を任せたくなる。 もういっそ任せてしまえばいいのかもしれない。 好きな人がこうして俺を求めてくれているんだ。 なにも気にせずただ快楽の海に溺れてしまえばいいんだ。 そうすれば楽なのに。 そうできれば、楽なのに。 どうしてこんなにも。 こんなにもーー 「か、神崎さ、んっ」 「なに?」 「もっ、やめてくださいっ」 「やだ」 「なっ……」 ……んだよ。 なんなんだよ。 憂さ晴らしのくせに。 身体目当てのくせに。 キスしてくれないくせに。 こんな風に。 全力で俺を気持ちよくしやがって。 なんだよ。 いったい俺をどうしたいんだよ。 心が乱れるじゃないか。 泣けてくるじゃないか。 いい年して男にあれ握られながら涙ぐむなんて。 ……いらない。 もう気持ちよくなんてならなくていい。 だから。 もう。 触るな。 もう。 「やめろっ……!」 「……っつ」 「俺はあんたの憂さ晴らしの道具じゃない!」

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