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3-1:午後0時のノイズ (3)

「……ごめん。使い方、まだよく分からなくて」 「わかりました。夕飯のあとで教えます」 「……うん!」 神崎さんが表情が一気に輝き、声のトーンが上がった。 これは一気に目が覚めたな。 「なんでそんなに嬉しそうなんですか」 「佐藤くんにLIMEの使い方教えてもらうっていう楽しみができたから」 「えっ」 「今日は会議ばっかりで退屈だと思ってたけど、乗り切れそうだ」 ……こんちくしょう。 本当に、そういうこと言うのやめてほしい。 嬉しいけれども。 嬉しすぎて鼻血垂れそうになってるけれども! 「お待たせしました。こちらコーヒーです」 「ありがとう。また……あとで」 ……嗚呼。 尊きレジのカウンターよ。 俺たちの間にいてくれてありがとう。 でなければ、確実に抱きしめていた。 あの笑顔はやばいだろ。 もしも漫画なら、絶対に背景にワクワクとかソワソワとか書かれていた。 もちろん、神崎さんの笑顔の周りには、パアアアァァッ……なんていう効果音付きで。 去っていく背中からは小さなハートが飛び散っていてーーああ、もう。 たまらない。 俺の切実な悩み、その2。 神崎さんがやたら煽ってくる。

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