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3-1:午後0時のノイズ (6)

もやのように脳内に立ち込めていた思考の霧が一気に晴れて、意識が目の前の男女三人組にロックオンされた。 三人とも、オレンジ色のカードを首から下げている。 「だからいつもより女子の出席率が高いのか……」 「えーウソ。あの人滅多にそういうの出ないじゃん」 「でしょ?でも参加者リストに載っててさー」 神崎さんが飲み会に参加? 明日? そんなの聞いてない。 「お前行くの?明日の夜はヨガだって自慢してたじゃん」 「自慢じゃないって!部長の相手するの面倒だから迷ったけどさー。酔った神崎課長見てみたいし!」 「あ、それは私も見たい!」 黄色い声を上げる女子ふたりの横で、男子が顔をしかめた。 「いや、あの人は酒飲んだら死ぬから」 「えっ?じゃああの噂ホントなの?」 噂? 噂って? 死ぬってなんだ!? 「最近はないけど、俺が一年目の時に一回やって……あれはマジやばかった」 「そっかぁ……残念」 やったって何を? やばかったって!? 気になる。 ものすごく気になる……! 「それにあの人は絶対いるだろ」 「なにが?」 「彼女……か、嫁」 「えー!いないでしょ!」 「指輪してないし、奥さんがいるとか聞いたことないけど?」 「いや、いるだろ。あんなイケメンにいないと思う方がおかしい」 その気持ちはものすごくわかる。 俺も最初はそう思ってた。 「酔わせられないとしても、絶対、一回は隣に座ってやる!」 「倍率どんだけだと思ってんの」 「でもこんなチャンス滅多にないじゃん!」 「……ま、頑張れば」 テンションMAXの女子ふたりと、疲れ切った様子の男子ひとりは、商品を受け取ってわいわい言いながらあっという間に去っていった。

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