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3-4:午後11時の告白 (4)

「……言えるかよ」 ジッと見つめていると、神崎さんがフイッと顔を背けた。 久しぶりに見るへの字口が、ゆっくりと動く。 「だって俺……佐藤くんに嫌われたく、なかった」 ……こんちくしょう。 こんちくしょうこんちくしょうこんちくしょう! 「あ……っ?」 「嫌いになんてなるわけないだろ!」 強く強く抱きしめた腕の中で、神崎さんがビクッと全身を揺らす。 「好きで好きで、好きで好きで好きで……もうどうにかなりそうなくらい好きなのに」 説明なんてできない。 なんでこんなに好きなのかって聞かれても、具体的な理由なんてきっとひとつもあげられない。 それでも、好きだ。 神崎さんのことが好きで好きで好きで……たまらない。 だから、触れたい。 触れたいし、触れられたい。 自分にこんな衝動があったなんて、今まで知らなかった。 「……嫌いになんて、頼まれてもなってやるかよ」 神崎さんの身体が小さく震え、背中が暖かくなった。 おずおずと回された手が、俺に縋りつく。 そのいじらしさに、たまらず抱きしめる腕に力を込めた。 「好きです」 「佐藤、く……」 「神崎さんが好きです」 「……うん」 ……ああ。 よかった。 ほんとに、よかった。 “そんなこと”で、本当によかったーー

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