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3-4:午後11時の告白 (9)
「んっ……く……っ」
「え、神崎さん?」
「もっ、無理ぃ……っ」
ぎゅっと瞑られた瞳の端に、涙の雫が溜まっている。
「泣かないでください。興奮します」
「こんのっ……変態!」
「あ、また言いましたね、ひどい」
「思ってないくせに言うな!」
「罵らないでください。興奮……」
「するな!」
「神崎さんが悪いんです。だってまだ、舐めてもないのに」
「なっ……っあ、あっぁっ……」
ゆっくりと手を上下に動かすと、神崎さんの声が一気に甘い息に変わる。
先端から溢れ出た雫が俺の手を濡らし、微かな音を立て始めた。
無意識に腰が揺れている。
かわいい。
たまらない。
ああ。
やっぱり。
食べたい。
「んあぁっ……!」
ぱくりと口に含むと、神崎さんの身体が大きくしなった。
「んっ……んんぅっ……」
ゆっくりと頭を上下させると、くぐもった声が耳に届く。
視線をずらすと、長い両腕が神崎さんの顔を覆っていた。
「顔、隠さないで」
「や、やだ……っ」
「言ったでしょう。俺は見たいんです」
「だってっ……」
「だって?」
「こわい……っ」
怖い?
なにが?
ーー俺……佐藤くんに嫌われたく、なかった。
俺に嫌われるのが怖い?
……ああもう。
ほんと、この人は。
言ったのに。
嫌いになるはずがない、って。
好きで好きでたまらない、って。
それに。
こんなの。
俺にずっと好きでいてほしいって言っているようなものだ。
「理人さん」
頑なに顔を隠す腕をそっと動かすと、その潤んだ瞳には、もう涙が溢れてしまいそうなくらい溜まっている。
ーー愛おしい。
「大丈夫だから」
嫌いになんて、ならないから。
絶対に、ならないから。
「俺に全部ーー見せて」
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