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閑話:午前0時のインビテーション (2)
ーー俺のこと、嫌いですか……?
本当に、泣くかと思った。
揺れる瞳に、思い知らされた。
どれだけ、佐藤くんを不安にさせてたのか。
そりゃ、そうだよな。
自分は好き勝手しておいて、いつも最後に拒むんじゃ……俺だって凹む、かも。
最初から話していればよかった。
そうすればきっと、あんな表情 、させなくて済んだんだ。
「……ごめん」
「理人さん……?」
「不安にさせて、ごめ……んんっ」
俯いた顎を捉えられ、強く唇を塞がれる。
目を閉じるのも忘れて、佐藤くんの強い瞳に見入った。
じっと俺を見返してくる瞳は、焦げ茶色の奥に俺を捕らえて離さない。
逃れられない。
怖い。
怖い、のに。
「……っ」
「理人、さん……?」
よくわからない感情が溢れそうになって、思わず佐藤くんに抱きついた。
大きな背中に腕を回してぎゅっと力を込めると、耳の横で優しい苦笑が聞こえた。
そして、ゆっくりと包まれる身体。
気持ちいい。
安心する。
ずっとここにいたーー
「……あ」
広い胸板に体重を預けかけて、太ももに当たる硬いものに気付いた。
思わず身体を離してそこを見ると、ズボンがこんもりと盛り上がっている。
「ああ、理人さんの感じてる顔がかわいかったから」
佐藤くんのあけすけな言葉に、もうずっと心の中で燻っていた不安が一気に飛んでいく。
ーーお前の感じてる顔なんか、見たくないんだよ。
怖かった。
そういうことをしたら、佐藤くんもあの人と同じように背を向けて俺の前から去っていくんじゃないか、って。
でも、今は。
佐藤くんが俺に反応してくれているのが、ただ……嬉しい。
「……あの」
「はい?」
「触っても、いいか?」
「プッ、なんで聞くんですか」
「だって……いや、うん。じゃあ……触る」
佐藤くんの眉が、ピクリと上がった。
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