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閑話:午前0時のインビテーション (4)

「一緒に握って……ね?」 「う、ぁ……っは……あつ……っ」 「理人さんのもものすごく熱いです……っ」 「こんなの……どこで覚えて……あっ、ぁっ」 もう、自分の手なのか佐藤くんの手なのか、よくわからなくなってきた。 佐藤くんのと俺のが擦れて、ものすごく気持ちいい。 どちらかから溢れた透明な滴りが手を潤し、いやらしい水音を立て始める。 ものすごく恥ずかしいのに。 いっそのこと耳を塞いでしまいたいのに。 もっと。 もっともっと。 もっとーーほしい。 「さ、佐藤く……っ」 「なん、ですかっ……?」 「も、我慢できな……っ」 「なにが……?」 「うしろもっ……ほしい……っ」 「えっ、うしろ……?」 「……あ」 ちょ、ちょっと待て。 俺、今なんて言った……? うしろ……? うしろ? うしろ!? だーかーら! だから! 頼むよ、もう! 本気で黙ってくれ今すぐ消滅してくれ俺の煩悩よッ! デビューしたての芸人みたいに積極的に前へでようとするな! 「ご、ごめん、なんでもな……っひぁ」 「ここ、ですか?」 「んぁっ……!」 違う。 違うけど、そこもものすごくーー 「あっ……あっ……」 まずい。 頭の中からいろんなものが飛んでいく。 理性とか、羞恥とか、恐怖とか。 あふれる声を止められない。 「佐藤くっ……もっ……俺っ……」 「俺もです、理人さんっ……」 ああくそ。 名前なんて、呼ぶな。 「あっあっぁーー…」 「……っく……!」

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