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閑話:午前0時のインビテーション (8)

「佐藤、くん?」 「……好きです」 低い声が、耳に響く。 「好きです、理人さん」 「……俺も、好き」 「え……?」 「……なんだよ」 「初めて言ってくれたと思って」 ……やっぱり。 佐藤くんの笑顔は、向日葵みたいだ。 もう、冬なのに。 外は寒いのに。 まるで、佐藤くんの周りだけほんのり暖かいような。 そんな、笑顔。 「理人さん?」 ……ああくそ。 くそくそくそくそくそくそう……ッ! 「わっ、ちょ、理人さん!?」 勢いよく抱きついて思いっきりぎゅうぎゅう締め付けてやる。 だって、悔しい。 先に好きだって言ったのは佐藤くんなのに。 四年間も、俺の知らないところで俺を想っていたのは、佐藤くんなのに。 これじゃあまるで、俺の方が佐藤くんのことを好きみたいじゃないか。 「……この変態天然人タラシ」 「えぇっ!?」 でも。 「もう……ひどいなあ」 この笑顔がこれからも見られるなら。 ずっと、俺のものになるのなら。 絆され続けてやるのも悪くないーーかもしれない。 「……くそう」 fin

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