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4ー4:午後10時のハッピーバースデー (2)
唇が離れると、ふたりの唾液が橋になって鈍く光った。
耳にかかる髪をかきあげると、理人さんの身体がぶるりと震える。
俺は、その細い首筋に顔をうずめた。
下から上へ、舌先を這わせてじっくりと味わう。
理人さんが小刻みに身体を震わせながら、鼻から甘い息を吐いた。
唇を窄ませて肌を吸うと、うっすらと紅い花が咲く。
でもすぐに、理人さんに左手に覆われて見れなくなった。
「そんなとこ、跡、つけんな」
潤って輝く瞳を揺らしながら、理人さんが唇を尖らせる。
「だめですか?」
「見えるところは……」
「わかりました。じゃあ、見えないところで」
理人さんの襟口をはだけさせて、唇を寄せる。
「んっ……!」
音を立てて吸うと、白い肌に真っ赤な跡がついた。
「……やば」
「え?」
「興奮する」
理人さんの身体に紅く散った、俺の印。
俺がつけた、俺の印。
白を汚すように浮き上がる紅に、心の奥が刺激される。
「理人さん」
「んっ?」
「服、脱がせていいですか?」
「……いちいち、聞くなよ」
シャツのボタンをひとつずつ外し、そっと肩から外す。
黒のアンダーシャツを一気に引き抜くと、引き締まった上半身があらわになった。
理人さんが一度身震いしてから、おずおずと手を伸ばす。
俺は、その手が届く前にシャツを脱ぎ捨てた。
宙に浮いていた手を取り、ひとつ口付けを落とす。
そして、そのまま理人さんを押し倒した。
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