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4ー4:午後10時のハッピーバースデー (11)
俺の欲望が半分まで隠れたところで、理人さんが腰の動きを止めた。
体重を支える両腕が、俺の胸の上でぶるぶる震えている。
「理人さん?」
「はーっ……はーっ……」
「大丈夫ですか……?」
「ふぇ……?」
うっすらと目蓋を持ち上げ、理人さんがうつろな瞳で俺を見下ろしてくる。
やばい。
理人さんの顔が、やばい。
辛そうなのに。
ものすごく辛そうなのに。
この上ないくらいに、
エロい。
真っ赤に腫れた目が、焦点のあわないままうっとりと俺を見つめてくる。
火照った頬はピンク色に染まり、首筋が汗ばんで鈍く光っている。
胸の突起がぷくりと丸くなり、理人さんの呼吸に合わせて僅かに上下に揺れている。
反り返った熱の中心は、相変わらずトロトロといやらしい蜜をあふれさせ、さらなる刺激を求めてヒクヒクしている。
あ。
やばい。
これはもうだめだ。
「ごめんなさい、理人さん!」
「ひゃっ!?あ、ちょ、待っ……んんんうぅっ!」
もう、我慢できなかった。
理人さんの腰を抱き寄せ、先っぽだけで繋がったままの身体をひっくり返して、一気に自身を埋めた。
「す、ご……全部、入った」
自身を襲う未知の感覚についていけずに、勝手に腰が揺れた。
僅かに擦れた接合部が、ぐちゅ、と思わず耳を塞ぎたくなるような音を立てる。
と、同時に、理人さんの身体がふるりと震えた。
「い……たいっ……」
苦しそうに呻く理人さんの目尻を、ツ、とひと筋の涙が伝う。
「え!?あ、うわ!ご、ごめんなさい!つい……!」
「んああぁっ……バッ、い、いきなり動く、な!」
「あ!?ご、ごめんなさい!」
「あんんぅぅっ……!」
慌てて抜こうとしたところを引きとめられて、咄嗟にもう一度腰を押し付けてしまった。
理人さんは、細い喉を仰け反らせて荒い呼吸を繰り返している。
足の指がキュッと縮こまり、手は、指先が白くなるまでシーツを握りしめていた。
あまりに痛々しくて、そっと自分の手を重ねる。
「ごめんなさい。痛い、ですよね……?」
理人さんが、うっすらと瞼を押し上げて、微かに笑った。
そして、俺の背中に腕を回し、強く、抱き寄せた。
「痛いけど、嬉しいから……いい」
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