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4ー4:午後10時のハッピーバースデー (12)

耳に直接注ぎ込まれた泣き笑いのような吐息に、心臓が疼いた。 「痛いって言ってんのにでかくすんなよ……っ」 「無理です。理人さんかわいすぎる」 「んっ!」 首筋に唇を寄せると、理人さんの後ろがきつく締まる。 「理人さんの中に俺のが全部入ってるって考えただけで……もうイっちゃいそうです」 正直なところ、さっきからもう相当やばい。 中はふかふかしてものすごく熱いのに、根元は容赦なく締め付けられて、アンバランスな刺激に俺の脳内は大混乱だ。 本当は、今すぐ思いっきり腰を動かしたい。 でも、理人さんに辛い思いはさせたくない。 深く長い息を吐いて吹っ飛びそうになっていた理性を僅かに呼び戻すと、俺の腹の下で萎みかけていた理人さんのそれを探り当てた。 「んぁっ……やっ、そこ、はっ!」 「理人さん」 「あっ……な、なにっ?」 「俺、離れませんよ」 「えっ……なに言っ……んんっ!」 「さっき、俺がいずれ女の子と結婚するとかなんとかホザイてましたけど」 「あっ、あっ、ホザいてなんかっ……あ、あんっ」 「俺、一生理人さんと離れる気ありませんから」 「そ、そんなっ……あっ、一生、なんてぇ……っ」 「その言葉通りの意味です」 手を止めると、少し遅れて微かに揺れていた理人さんの腰の動きも止まった。 ふたつの潤んだ瞳が、咎めるように俺を見上げてくる。 「嫌ですか?」 「……っ」 「理人さん?」 「もう、ほんと……黙れよ」 理人さんが、両腕を交差して顔を覆った。 頬も、唇も、耳も、真っ赤だ。 うしろは相変わらずきゅうきゅうと俺を締め付けてくるし、それはトロトロと淫らな涎を垂らしテカテカと光っている。 「えっろ……」 思わず呟くと、俺を飲み込んだままのそこが、また、きゅんっと切なく締まった。 「さ、佐藤くん、もう動いて……あっ、あああっ!」 「くっ……」 「んああっ、佐藤くっ……はやいっ、はやいぃっ……あっあっ……」 「……っ」 「も、もっとっ……ゆっく、りぃ……っ」 「っ……ごめんなさい、止まれませんっ」 「こんの、やろぉっ……あっ、そんなにしたらぁっ、んんっ……!」 本能が欲するままに腰を打ち付けながら、揺れる視界の中で理人さんの姿を目で追う。 俺のが出ていく時の顔。 また挿入っていく時の顔。 熱の中心を弄った時の顔。 どんな表情だって、見逃したくなかった。 気持ちいいところが擦れた時の嬌声。 なにかを堪えるように喉の奥から漏れる音。 俺の名前を呼ぶ掠れた声。 どんな声だって、聞き逃したくなかった。 「はっ……はっ……」 「あっ……あぁっ……!」 同じリズムで乱れる呼吸が、たまらなく嬉しい。 「佐藤くんっ……!」 縋るように背中に回される両手が、この上なく愛おしい。 ああ。 好きだ。 大好きだ。 誰がなんと言おうと。 俺は理人さんを離さない。 誰になんと言われようと。 俺は理人さんから離れない。 ずっと。 ずっと。 「理人さん……っ」 「あっぁっ、もうだめっ、佐藤くん、佐藤く、あ、あ、あ――…っ」 俺はこれからもずっと、理人さんが好きです。

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