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閑話:午後5時のノスタルジー (4)

「んっ……ふぅ、ん、んっ」 押し付けられた唇が、摩擦して痛い。 いつもは蕩けるように甘い佐藤くんのキスが、なんだかとても乱雑だ。 「先輩……神崎先輩……」 「んっ、んっ……」 「好きです……先輩……」 唇の角度が変わる隙をついて、佐藤くんがうわ言のように繰り返す。 先輩? 俺が? 佐藤くんの先輩? どういうことだ。 わけがわからない。 「佐藤く……ひ、あ」 佐藤くんの性急な手が、唐突にズボンの中に潜り込んできた。 「ちょ、いきなり……んっ、んんっ!」 「すごい……先輩の、硬くなってきた。俺の手で感じてくれてるんだ?」 佐藤くんが、俺のそれを鷲掴みにしながら無邪気に笑う。 その笑顔が、すごく幼い。 まるで、本当に高校生に戻ってしまったような―― 「さ、佐藤くん!ちょ、待っ……あっ、あ!」 「先輩の……美味しい」 勃ちあがりかけていたそれ一気に頬張り、佐藤くんがうっとりと目を細めた。 味わうように吸い上げると、先端をチロリと舐めて、また口の中に含む。 じゅるじゅる、じゅぶじゅぶ。 その度にはしたない水音が溢れ、羞恥で耳を塞ぎたくなった。 「お、音っ……あ、んんっ」 「音?」 「立てるの、やめ、……ひあぁっ」 熱の中心を横からやんわりと甘噛みされ、抗議の声が悲鳴に変わった。 なんなんだ。 いったいなんなんだ! 「んっ……ん、んぅ」 「先輩、気持ちいい?俺、ちゃんとできてる?」 「せ、んぱいって……いうなっ」 なんだこれ。 なんのプレイだよ! 錯覚する。 まるで、本当に高校生の佐藤くんがここにいるようだ。 なにが真実なのかわからなくなって、頭がクラクラする。 「あ、あ、んん……ッ」 佐藤くんが、ちゅぽんっ、と俺を吐き出し、息の上がった俺を嬉しそうに見下ろした。 そして差し出されたのは、見覚えのあるボトル。 中の液体がゆっくりと傾いた。 「はい、先輩」 「は……?」 「自分でやってみて?」 「はぁ!?」 自分でやる? なにを!? 「ちゃんと柔らかくしないと、痛いの嫌でしょ?」 「……」 「大丈夫なら、今すぐ……」 「待っ……!」 自分のベルトに手をかけた佐藤くんを押しとどめると、その薄い唇が綺麗な弧を描いた。 しまった。 これじゃ自分でやるって言ってしまったようなものじゃないか! 「先輩がちゃんと準備できたら、俺のこれ、挿れてあげる」 これのどこが高校生だよ。 言ってることはただのエロオヤジじゃないか!

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