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閑話:午後8時のデリカシー (1)
だから酔っ払いは嫌いなんだ……!
「理人ってさー、なんで佐藤くんのこと佐藤くんって呼んでんの?」
「……」
「……」
「彼氏なんだから英瑠うぅ〜……って名前で呼べばいいじゃん」
「……」
「……」
「あ、それともあれ?ベッドの上でだけ名前で呼んじゃうってやつ?」
「……」
「……」
「なんだよふたりとも。無視すんなよー」
「なあ、佐藤くん。そろそろ殴っていいか……?」
「もちろん。どうぞグーでガツンといっちゃってください」
「ひでえ!」
航生が大げさに喚き、大げさに身震いした。
あああああぁぁぁー……、うるさい。
店の中もうるさいし、それに合わせて話し声が大きくなる航生がウザ……じゃなくて、うるさい。
だいたい、俺と佐藤くんと航生の三人でお酒飲むなんておかしくないか?
いや、俺は飲んでないけど。
このメンツで居酒屋のテーブルを囲むとか、どう考えてもおかしいだろ!
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