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閑話:午後8時のデリカシー (6)

「……」 「理人さん?」 は、恥ずかしい! なんでだよ。 なんで佐藤くんは、いつもこんな真っ直ぐな言葉ばかり恥ずかしげもなくつらつらと言えるんだ! 本当に天然ものの人たらしだ! ……でも。 嬉しい。 佐藤くんの気持ちが、ものすごく嬉しい。 同時に、少し不安になる。 俺は、ちゃんと返せているんだろうか。 佐藤くんが本気でぶつけてくれる気持ちの半分でも、三分の二でも、ちゃんと返せているんだろうか。 「……さっきの」 「え?」 「さっきの、航生に対抗してたのかよ」 「そりゃするでしょ。さすがにもう前みたいに嫉妬はしないですけど」 「対抗心なんて……必要ないだろ」 「理人さん?」 「だって……俺がキスされただけでいろいろ期待しちまって止まらなくなるのも、どうやったら悦んでくれるかなって悩んだりするのも、自分から上に乗りたいって思うのも、は、恥ずかしくてたまらないけどグッチョグチョにされてもいいって思うのも、佐藤くんだけ……なんだ、から」 「……」 「そ、そこで黙るな……」 う……やっぱりやめればよかった。 でも、伝えたかったんだ。 半分でも、三分の二でも。 俺の気持ちを、俺の言葉で。

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