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閑話:午後10時の約束 (1)
理人さんは、時々狩人 になる。
「んっ……」
まただ。
また、厳しい修行を経て秘伝の技を習得した理人さんの手と舌が、俺を追い詰めてくる。
「んっ……んっ……」
俺の股間に顔を埋める理人さんの髪から、ほんのりバニラの甘い香りが漂ってきた。
そうだ。
今日は夕飯のあとにデザートのバニラアイスまできっちり食べたのに、「まだ足りない……」と切なげな呟きが聞こえたと思ったら、理人さんに押し倒されていた。
ものすごい手際の良さでズボンのチャックを全開にされ、ものすごい手際の良さでパンツをめくられ、ものすごい手際の良さでそれを取り出されたと思ったら、次の瞬間には理人さんの口に含まれていた。
いつも「やだぁ……」とか「はずかしいっ……」とか恥じらってるあの人は、どこにいってしまったんだろう。
「っは……っふ……」
なんだか、ものすごく頑張っている。
じゅぼじゅぼ。
ちゅぷちゅぷ。
はしたない音を俺に聞かせながら、角度を変え、強さを変え、深さを変え、もうとっくに硬度100%を突破している俺の分身をしつこくしゃぶってくる。
捕らえた獲物は逃がさない。
そんな狩人 の掟でもあるのだろうか。
「ふぁっ……ん……っ」
理人さんの腰が揺れる。
まるで、この後に続く行為を待ち切れないかのように。
初めてここに来た時もそうだった。
今みたいに俺を咥えて、求めてくれた。
あの時はまさか、理人さんとこんな関係になれるとは思っていなかったけれど――あれ?
そういえば、あの時どうして最後までしなかったんだろう。
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