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閑話:午後2時の再会 (8)

大きな鏡の端っこで、少しだけ髪の短くなった理人さんが呆然と佇む。 「あ、理人、サッパリしたじゃん」 「……」 「英瑠くんも今終わったとこだよ。ちょっと遊ばせてもらったんだけど、どう?」 西園寺さんが、俺をくるりと椅子ごと回して理人さんと対面させた。 ケープを外してもらうのを待って、ゆっくりと立ち上がる。 理人さんは、俺の動きを鋭い視線でじっと追いかけていた。 「えぇっと……どう、ですか?」 「……」 「理人さん……?」 理人さんは、なにも言わない。 俺の顔をたっぷり10秒は見上げてから、ついと視線を逸らした。 唇が思いっきりへの字だ。 この反応はつまり……つまり、なんだ? 「まーあーくーん?」 「っ」 「なーに照れてんの?」 「照れてるわけじゃっ……」 「じゃあなに?かっこよくない?」 「……」 「それって英瑠くんだけじゃなくて僕もショックなんだけどー?」 理人さんは困ったように眉を寄せて西園寺さんを一瞥してから、改めて俺を見た。 ゆらゆら搖れるアーモンド・アイで俺を見て、俺の髪を見て、西園寺さんを見て、床を見て、 また俺の顔を見て、サッと目を逸らした。 尖った唇が、僅かに動く。 「……い」 「え?なに?」 「かっこ、いい」 「ほんとにそう思ってるー?」 「お、思ってる!かっこいい、から……」 「から?」 「かっこ、いい、から……」 「理人さん……?」 「そのまま外に出てほしく……ない」 ……あ。 あああああああああもう! この人は。 この人は本当になんでこうも……! 「かーわーいーいー!」 あ、セリフ取られた。

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