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閑話:午後2時の再会 (11)
今度は俺が耳を熱くする番だった。
まさか、そんなつもりでいてくれたなんて。
どうしよう。
「英瑠くん?」
「あ……ごめんなさい。ちょっと、予想外で」
「え?」
「嬉しくてどうにかなりそう、です」
西園寺さんは小さく噴き出すと、腕を伸ばして俺の頭を優しく撫でた。
「俺は理人の親友だから、英瑠くんが理人を好きになる理由なんていくらでも思い浮かぶんだ」
丁寧に紡がれた言葉が、空気に紛れて溶けていく。
西園寺さんは手を下ろし、目を細めて俺を見上げた。
「英瑠くんとは会ったばっかりだけど……理人がなんで英瑠くんを好きになったのかも分かる気がするよ」
「西園寺さん……」
「これからも理人のことよろしくね?」
「……はい」
「お待たせ」
「ひゃっ!」
「な、なんだよ。そんなに驚かせたか?」
全身で飛び上がった俺の後ろで、理人さんが目を白黒させていた。
小刻みに肩を震わせながら、西園寺さんが理人さんに向き直る。
「理人」
「ん?」
「今夜眠れなかったらごめんね?」
「は……?」
「ちょ、西園寺さん!」
「ごめんごめん」
西園寺さんは、いかにも悪く思っていない風に謝ってみせた。
そして、不思議そうに首をかしげる理人さんを見つめる。
「まーくん」
「ん?」
「……」
「心?」
「なーんでもない。また来てね?」
「あー……うん」
「英瑠くんも」
「……はい。またお邪魔します」
西園寺さんは、まるで幼い子供のようにくしゃりと破顔した。
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