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6ー3:午後6時の団欒 (1)

「理人お兄ちゃん、もう一回やろ?」 「うん、いいよ」 「さいしょっはグー!じゃーんけーん……」 「ポン!」 「やった、瑠未の勝ち!」 「瑠未ちゃんジャンケン強いなあ」 「えへへ!」 子供らしい笑い声を上げた瑠未が、大きな瞳をキラリと輝かせ、茶色の樽に一本の剣をグサリと刺した。 ふたりの間に一瞬緊張が走り、でもすぐに顔を見合わせて微笑み合う。 「ほら、次はお兄ちゃんの番よ?」 長い髪を得意げにさらりと搔きあげてみせる少女の前で、理人さんが表情を引き締める。 そして、赤いナイフを一本手に取った。 ごくりと喉を鳴らして、一箇所に狙いを定める。 「お兄ちゃん……本当にそこでいいの?」 「それは……どういう意味かな?」 「瑠未の予想では、そこはアウトだわ」 「俺は大丈夫だと思う」 「瑠未を信じないの?」 「その言い方はずるいぞ……」 「ふふっ」 理人さんは、瑠未をじっと見つめながらゆっくりとナイフを動かした。 ひとつ左側の穴に狙いをずらし、今度こそちゃんと左手を構える。 「いくよ、瑠未ちゃん」 「いいわよ」 ズブリ。 赤いナイフが、一気に樽を貫く。 一瞬の沈黙ののち、 ポンッ! 樽の中から、小さなおじさんが飛び出した。 「うわあ!」 「きゃははは!」 「やっぱり自分を信じるべきだった……」 「また瑠未のかちー!」 黒ひげを握りしめて落ち込む理人さんの頭を、瑠未が撫でる。 「お兄ちゃんはよくやったわ」 「瑠未ちゃん……」 「ただ今回は運がなかっただけよ」 「うっ……!」 ひどい、と泣き真似をする理人さんを見て、瑠未がまたケラケラ笑う。 そんなふたりを母さんと未砂さんが暖かい眼差しで見守り、その反対側で葉瑠兄がじとーっと睨んでいた。

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