「はっ……理人さん……っ」 「んっ……ぅ」 「挿れないセックス、どうですか……？」 どう、って。 「あっ、あっ、あっ」 どうにか、なる。 潤い滑る太ももの間を、佐藤くんの昂ぶりが行ったり来たりする。 大きなそれに裏筋を丁寧に擦り上げられ、ぶら下がる袋を弄ばれ、一気に達しそうになった。 こんなの、どこで覚えてくるんだろう。 また『男同士 セックス 挿れない』とか検索したんだろうか。 もしそうだって言ったらあとで……あとで……あ、ぁん！ 「き、もちい……っ」 佐藤くんが、ふ、と笑う気配がした。 同時に太ももの内側の敏感な皮膚を撫で上げられ、迫り来る限界を超えないよう必死で堪える。 四日ぶりに感じる佐藤くんの欲望の証。 直接肌に感じる先端の引っ掛かりが妙にリアルで、今は見えないはずのその姿形までが脳裏に浮かぶ。 ある意味で、挿れるセックスよりも何倍もエッチなセックスだ。 「あっ、んぅ……！」 目を瞑ればさらに感度が増すとわかっていて、それでも瞑らずにはいられない。 真っ白なシーツを皺くちゃにした手が、もっと逞しい手にそっと包み込まれた。 理人さん、大丈夫ですか。 理人さん、気持ちいいですか。 理人さん。 理人さん。 理人さん。 野生的な熱に浮かされてるくせに、俺を気遣う言葉ばかりが耳元で弾ける。 下半身に与えられる性的な刺激と、鼓膜を震わす心地よい低音。 鼻腔をくすぐる男くさい汗の匂い。 何種類もの異なる刺激をあちこちから与えられて、まともな思考力がなくなってくる。 頷いているのか、首を振っているのか、それすらもよくわからなくなってきた。 「理人さん、もうイキそうですか」 あ。 ばか。 そんなこと、耳元で訊いてくれるな。 「ふ、ぅんっ……！」 「あ、ちょ、くっ……」 今度こそ堪えきれずに、膨らんだ欲望が勢いよく爆ぜた。 全身の筋肉が硬直し、強張った脚が佐藤くん自身を締め付ける。 低いうめき声が耳に届いた時には、暖かい飛沫が俺の肌を汚していた。 湿った重みが、ずっしりと俺の背中を圧しつぶす。 「はあ」 「はあ」 「はあ」 「はあ」 「はっや……」 「ですね……」 「どっろどろ……」 「ですね……」 「シーツ……」 「ですね……」 「シャワー……」 「ですね……」 「も、ちょっと……」 「ですね……」 「はあ」 「はあ」 「はあ」 「はあ」 首筋が、至近距離で繰り返される荒い呼吸のせいでしっとりと湿ってくる。 上下する身体の動きに合わせ、佐藤くんの下の毛が俺のおしりをくすぐってきた。 「……な、佐藤くん」 「はい？」 「やっぱり挿れて」 「……もう」 「え？」 「今、それ言いますか」 「……だめ？」 「シャワーは？」 「あとでいい」 「シーツは？」 「どうせもっとどろどろになる」 「大事にできないかもしれませんよ」 「でも、してくれるんだろ？」 「……もう」 「あ……っ」 それから俺たちは、どろどろのグッチョグチョになるまで身体を重ねた。