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7-1:午後1時のたこパ (6)

「んっ……焼きたて、うまあ!」 うわあ。 かわいい。 たこ焼きをはふはふ食べる理人さんが超絶にかわいい! ふたりきりだったら今ごろ……いや、理人さんがいつもよりちょっとだけ幼い気がするのは、木瀬さんがここにいるからだ。 きっと無意識に甘えているんだろう。 俺にそうする時とは、だいぶ違った意味で。 悔しいけど、ありがとう木瀬さん。 悔しいけど! 「はい、どうぞ」 「ありがとう!」 理人さんの皿にまん丸のたこ焼きを2個追加すると、嬉しそうに眉尻を下げ、たこ焼きソースのチューブを手に取った。 ぶっちゅうう、と茶色の塊を絞り出しながら、これでもかと目を輝かせている。 ああ、だめだ。 かわいすぎる。 「相変わらず、食べてる時はまるで子どもだな……」 木瀬さんが、呆れたように笑った。 穏やかな視線を受け止めながら、理人さんはかつお節を山のように振りかけている。 ふよふよと漂うピンク色の揺らめきをしばし見つめ、それからひょいっと口に入れた。 はふはふと動く口元がエロかわ……あ、だめだ。 あんまり見てると興奮してくる。 「そういえば、おふたりは高校から大学まで一緒だったんでしたっけ」 「そうそう。俺のが二年先輩だけどな」 「どこですか?」 「ん?なにが?」 「高校と大学」 「ああ、大成と東応」 「東応、って東応大学?って、え、東大!?」 なんてこった。 日本が世界に誇る国内最高峰の学び舎じゃないか! 「なに?驚くってことは聞いてねえの?」 「気にしたことなかったんで……大成高校もなんか聞いたことあるな」 「高校生クイズとかじゃねえ?常連だしな、クイ研が」 クイ研……ああ、クイズ研究会。 それにしても、 「人は見かけによらないんですね……」 「ひっでえ!佐藤くん、相変わらず露骨!」 木瀬さんが大袈裟に嘆いてみせると、理人さんの眉間に皺が寄った。 頰は、新たに放り込まれたたこ焼きで膨らんでいる。 ああ。 あああああああ……かわいい。 「ま、俺は東大だからっていうよりは、家から近かったから東応にしたんだけどさ」 「ほんとにいるんですね、そういう人」 「理人は俺を追っかけてきたんだよなー?」 「なっ……!」 「そうなんですか、理人さん?」 「ち、ちがっ……」 ボボボボッ……あーあ、燃え上がっちゃった。

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