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7-3:午後8時のジュ・テーム (5)

所在なさげにさわさわと動いていた左手をとると、理人さんの肩がビクッといかった。 揺れた視線がひっそりと佇む監視カメラを一瞬捉え、でも振り払われることなく握りこまれる。 指と指の隙間が、乾いた温かさで埋まった。 「ゆっくり味わう、って……」 「え?」 「なにを?」 そっぽを向いた横顔は、真っ赤だ。 どうやら、今日の理人さんは俺の予想以上に浮かれているらしい。 俺の答えなんて、本当はわかってるくせに。 「そうですね。たとえば……」 「ん……っ」 「こういうことです」 離れた唇の代わりに額を合わせて、潤んだアーモンドアイを覗き込んだ。 「……ばか」 かわいい悪態のあとすぐに取り戻されると思っていた距離が、さらに密着する。 理人さんは、まるで飼い主に甘える犬のように、尖った鼻先を擦り寄せてきた。 「理人さん……?」 「どうせバレてるんだろ」 ああ、だめだ。 俺だって、ものすごく浮かれているんだ。 そんなことされたら、 「んっ……ふ」 拒むことなんてできない。 「はっ……ん、ぅ……っ」 カメラで監視されている空間で交わす、ディープな口づけ。 拭いきれない背徳感に後押しされ、どんどん気分が盛り上がってきてしまう。 確実に硬度を増し始めた自身が当たらないようにと腰を引くと、すぐに理人さんの下半身が追いかけてきた。 押し付けられたそこは、確実に昂ぶり始めている。 「んむ!?」 ふいに、なにかが俺の股間を握った。 ぎょっと目を見開くと、視界の端にもそもそと動く細い手首が見えた。 「ちょ、ちょっと理人さん……っ」 「はぁっ……なに?」 「いくらなんでも浮かれすぎでしょ!」 「なにが……?」 「なにが、って……」 「あ?え、あ、うわ!?」 えっ、まさか無意識!? 「ご、ごめん!キスが気持ちよかった、から……」 「理人さんそれ……煽ってる?」 「は!?ち、ちがっ……んむぅっ」 ごめんなさい、田崎さん。 「ちょ、さ、佐藤く……ん、あ、ふぅ、んっ」 最後にもう一回だけ、ベロチューさせてください。

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