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終-3:午前10時の旅立ち (11)

ぐちゅぐちゅ。 ぬちゃぬちゃ。 じゅぽじゅぽ。 淫らな音が、充満している。 「はあっ……あ、ふぅん……っ」 俺の上で、理人さんが白い身体をくねらせて感じていた。 仰け反った上半身を後ろ手で支え、まるで見せつけるように反り返った自身を揺らしている。 理人さんの細い腰が持ち上がる度に接合部が赤裸々に暴かれ、俺の昂ぶりを包み込む粘膜の縁までが垣間見えた。 「あうっ……」 絨毯に突っ張っていた肘がふいにガクンと崩れ、重力に逆らえきれずに理人さんの身体が腹の上に落ちてくる。 硬い臀部に股間が押しつぶされて、繋がりが一気に深くなった。 突然の刺激に思わず身震いすると、理人さんがふにゃりと笑う。 「んんっ……佐藤くん、気持ちいい……っ?」 淡い弧を描いた唇の端からは、唾液が筋になって漏れていた。 「佐藤くんも、動いて……?」 理人さんの瞳が煌めき、隠しきれない情欲とともに俺を見下ろしてくる。 背中がゾクリと泡立つほど、妖艶な笑みを浮かべながら。 「あっ……あっ、いやっ……いやだっ!」 「なにが?」 「もっと……もっと、激しくしてほしっ……あ、あ、あ!」 「……」 「優しいのなんて……いらなっ……ん、んんぅっ」 求められるがままに腰を揺らすと、白い喉から溢れる嬌声が大きくなる。 淡白だなんて嘘でも言えそうにないほど善がってみせながら、理人さんはそれでも足りないと自ら膝立ちになった。 柔らかい絨毯に肌を摩擦させながら、俺のペニスをぐぽぐぽと出し入れさせる。 「あっ……いいっ……」 もう、わかっていた。 理人さんは、欲求不満なんかじゃない。 そしてこれは、セックスじゃない。 〝儀式〟だ。 「ん、あっ……いっ、いた……っ」 元々十分でなかった滑りが乾き、擦れ合うもの同士がギチギチと互いに抗い始める。 理人さんは不快感に喘ぎながらも、腰の動きを止めようとしない。 それどころか、痛みを歓迎するようにアーモンド・アイを恍惚と輝かせた。 「あ、あっ……い、いく……!」 引き締まった身体が大きく痙攣し、膨らんだ先端が勢いよく精を吐き飛ばす。 呼応するように自身を強く抱きこまれ、搾り取られるように俺も達した。 理人さんの胸板が、力なく倒れ込んでくる。 乱れた呼吸に合わせて上下していた身体は徐々に重みを増し、やがて耳に届く音が穏やかな寝息に変わった。

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