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第2話
限られた者しか知らない秘密の部屋がある。
部屋の真っ白な壁に作られたその木の扉は古く、金具は所々錆びていた。
その扉を開けると草木が繁茂する小道が続いており、暫く歩くと更に古ぼけた扉が現れる。
その扉を開ければ、別の空間へと行くことが出来るのだ。
繋がる世界はいつも違っていて気まぐれだ。
開ける者の希望通りの時もあるし、そうでない時もある。
本来王族でしか開けることができない……その貴重な権利を自分は賜っていて、自由に行き来することが出来るのだ。
白の扉。
そう呼ばれていた。
今回はどこに行かれたのか……ため息をつきながらその扉を開き、主の気配を探りながら小道を歩く。
はぁ……
自由な御方だから、まだまだ一人でいたいのだろう。
遊んでいたいのかもしれない。
……
しかしそう言い続けてもう何年経ったのだろうか。
そんなに時間があるわけでもないのだ。
早く主には結婚していただき、落ち着いていただきたい。
そして子を授かって貰いたいのだが、あらゆる手を尽くしてもことごとく失敗に終わり、正直言ってお手上げだ。
もう結ばれて子孫を残してくれるなら、相手は誰でもいいとまで言っている。
色々諦めた国王が最近はそれを望んでいて、暇さいあれば見合いをしたがる。
手当たり次第だった。
今まで何人の花嫁候補が来たか覚えていない……
しかしまったく主が関心を示さないからお手上げなのだ。
「……いないのかも……あの御方は一生独り身なのかもしれない……」
い、
嫌々!
それではいけないっ!
諦めては駄目だっ!!
小道の奥にある古ぼけた扉を開くと、キリリと澄んだ風が吹き込んでくる。
大気、水、土や樹々の匂い……それに混じる鼻にツンとくる匂いは生命体が存在していることを示していた。
空気は冷たく吐く息は白い。
ここから先は他の世界だが、何度か来たことのある場所であった。
主の気配を確かに感じる。
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