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第9話
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「可愛らしい体型でしたので、少し信じがたかったのですが、確かについてますね」
「な!なーーーっ!!!」
ちょっと待て!
可愛らしい体型ってなんだ!
確かに長身なあなたとは全然違うけど!
この人超失礼!!
「この話、一度持ち帰らせていただきますね。しかしサイ様が花嫁であることには変わりございませんので」
「いや!無理ですっ!人違いですって!っていうかそんな相手いないし!」
「おりますよ?我が主です。人違いでは絶対にございません。ここには我が主の匂いも残っております。わたくしが到着する少し前にこちらへいらしているはずなのでお会いしているはずですが?」
「……え、ここには誰も。ま、まさか……あの怖く……」
「怖い?」
「俺寝てたしずっと金縛りにあってたから……だけど気配は多分人だったと……え、まさかそいつが主?」
「金縛りとは……よほどサイ様に緊張されていたのでしょう。あはは、よほどあなた様のことを気に入られたご様子。あぁ、本当によかった」
「はぁああああ!!!??」
「主はすでに城にお戻りになられたようなので、わたくしも戻ります。ああ、こちらに……帰る為の扉を作った後がございますね」
ルースが指を指すそこは、俺の部屋のクローゼット。
帰る為の扉?
ちょっとまって、意味が分からないんだけど。
「また、参りますね。それではサイ様失礼致します」
ルースがカチャリとクローゼットを開くと、そこにはあるはずの俺の衣類や本棚がなく、真っ黒な闇がくり抜いたようにぽっかりと広がっていた。
そしてその闇の中にルースが吸い込まれるように消えて行くのを、俺は呆然と見つめていた。
……あはは……
ヤバい俺いかれたかも?
なにが起こっているんだろう。
夢なのかな……
あーそうだ夢を見ているんだ。
よたよたとベッドに入り、再び眠りにつく……
なかなか寝付けなかったけど、気がついたら朝になっていて、普段と何も変わらない朝を迎えた。
そして、
俺の部屋のクローゼットの中は、何一つ変わっていなかった。
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