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第17話

身体が……熱い。 ダルい。 動悸は治まらないし、頭痛も酷い。 寝具に埋もれたまま俺は弱り、ただ死んでいくのか。 もしやこれが原因で兄弟は皆死んだか? ついに俺にもやっていたわけか…… は…… はは…… このまま衰弱して死んでいくのも悪くない…… ここでこの国が滅んでしまうのも運命なのだろう。 …… この世に未練はないからそれでも構わない。 …… …… クソ…… そう思いつつも、どうしても頭から離れないことが一つあった。 あの日あの夜、闇夜に紛れてここを離れた時の事だ。 いつものように憂さ晴らしをしに違う他の世界へ行った。 あいつらの言っていることはまぁわかる。 じじぃもばばぁも、もうそう長くはない。 次の世代へとっとと王位を譲ってしまいたいのだろうが、それはそっちの都合だ。 興味もないゴミクズと一緒にされそうになる俺の気持ちは誰にも分らないだろう。 はじめは興味を示し誰が俺の相手になるのかと遊んでみたけれど、どいつもこいつも楽しめたものではなかった。 気持ちが悪くて、何人かはこの城から直ぐにはでれない状態にしてしまったことがあったっけ。 女は花の様に美しく可憐でか弱いものだと教えられたが、どういうことかその辺を飛んでいる虫の方が遥かに美しく魅力的に見えてしまう。 女の中身は恐ろしい…… 計算高くて裏表が激しい。 そういうところが少しでも見え隠れすると、とたんにぶっ殺したくなるんだよなぁ。 仰向けになり、天井に向けて手の平を掲げてみる。 熱を持った手は震えていて、それは治まる気配はなかった。 そんなことよりも、あの日のことだ…… 異世界へ行ったはいいけれど、その日は酷く寒く凍えてしまうかと思うほどで、暖を求め暖かそうな建物へと転がり込んだのだ。 幸いそこは暖かく、とても居心地のよい空間だった。 おまけに出入口が作りやすそうな素晴らしい扉まであるではないか。 狭い部屋ではあるけれど、不思議とホッとする。そこで身体が温まるのを待った。 そして気がついたのだ。 この部屋に生物がいることに…… 迂闊にもその存在に気がつかなかった自分に嘲笑する。 最大限に警戒しつつ近づくと、 どうやら「それ」は眠っているらしかった。

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