25 / 88

第25話

「ルース?あの、何か勘違いしてないかな?俺とマリーとは特に何もないよ?」 「あるとかないとかそれは問題ではございません。今この時点でマリー様のいないマリー様の寝室に才様が一人でおられる。こんなことは今までにないことなのでございますよ。それとマリー様は才様が起きるまで起こさないようにと……と、言われました。こんな……こんなことを仰るなど!今までにあったでしょうか!」 「は、はぁ……」 良く分からないけれど、ここで俺が一人でいることが珍しいってことなのかな? マリーが起きた時に俺も起こしてくれたら良かったのになぁ…… そう思いながらモグモグと食事を平らげた。 パンにしてもスープにしてもどれも美味しかった。 「ご馳走様でした。で、あのルース……」 「さて!才様こちらへどうぞ!既に準備はできておりますので」 「え?」 扉を開けると、そこには3人の女の人が待機していて、待っていましたとばかりに俺を囲み、どこかへと連れて行こうとするから焦った。 「ちょっと!?何どうしたの?あの!ルース俺さ、もううちに帰りたいんだけど!!」 「ゆっくり浸かってきてくださいね~!あったまりますよ~」 そう言いながらルースはにこにこと扉の前で手をヒラヒラと振っていた。 俺はというとお姉さん達に包囲され、有無を言わさぬまま風呂場へと連れて行かれてしまったのだ。 「帰ることなんてできませんよ~才様」 そうルースが呟いた一言は俺の耳には届かなかった。

ともだちにシェアしよう!