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第27話

「あの!これなんですか!この服は!」 「綺麗でございましょう?この日の為にと気合を入れて準備しておりました。よくお似合いでございます」 「やっぱり花が可愛らしいんじゃないかしら?」 「そうねぇ。もう少し髪が長ければ良かったんだけど」 「あ、飾り髪を用意致しましょうか?」 「や!やめてください!もう十分です!それにこれっ女の子みたいで俺嫌だ!」 我慢の限界でついに叫んでしまった。 でもこの格好は男子がやるものじゃない! なんだ!俺が男だってわかっているのになんでこんな服を着せるんだ! 俺のこの反応をキョトンとした眼差しで見つめていたお姉さんたちは、困惑した表情を浮かべている。 「お気に召さないかもしれませんが、とても良くお似合いです。マリー様にお会いになるのでしたら、これくらいのお召し物でないといけません。それにお世辞とかではございません。殿方だと承知しておりますが、本当に良くお似合いでございます」 「……」 そんな丁寧にお辞儀をされると何も言えなくなってしまう。 こんなの着せられて嬉しい男なんていないと思うんだけど、もうどうしたらいいんだよ俺。 こんな格好でうちに帰ったら絶対家族皆に笑われるだろ。 だけど身に着けてくれた服も飾りもどれも質は良さそうだ……このアクセサリーとか絶対金だと思うし。高級すぎる仮装衣装を着た気分だ。 「あの、マリーがもうすぐ帰って来るんですか?」 「予定ではそろそろかと思われます」 「そっか……さっきの部屋で待ってればいいんだよね。叫んだりしてすみませんでした。お姉さんたちが悪い訳じゃないんですもんね。あの、お風呂もマッサージも気持ち良かったです。ありがとうございます」 「……い、いえ!とんでもこざいません!そのような御言葉私どもには勿体無い……」 いえいえ、勿体無いのはこっちの台詞だ。 たかが高校生のガキに、こんなに綺麗なお姉さん達がお世話してくれるなんて滅多にないことだ。 着ている服以外は大満足なんだけど、俺にこんなヒラヒラしたやつを着させてどうなるんだ? え、まさか本当に嫁にされるのかな俺……

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