29 / 88
第29話
マリー
「何者だ!」
案の定、コナーが素早く反応する。戦闘においても一番センスがいい感覚派タイプだ。慣れた手つきで腰の剣柄に手をかけた。
「いい……」
「は?」
何故あんな格好してここにいるのか……どうせルースの指示だろうと思いつつも不思議と気が緩んでしまう。
「問題ない。下がっていろ」
ソファーの裏に隠れているところまで行くと、そいつは予想通り女ではなく才だった。
才は完全に女の格好をさせられている。
ふわふわヒラヒラとした薄い生地を何層にも重ねているが、透けているので、身体のラインがよく分かり……寝間着?これはかなり下着に近いんじゃないか?
「何してんだお前」
「マリー!……あ、あの!寝室で待ってるようにはじめは言われたんだけど退屈しちゃって……それをルースに言ったら、ではこちらで待ってたらって言われたんだけど……あのえっと」
「……」
「……うう……だってこの格好スースーしてて落ち着かないんだよ!寝室には布団があったからそれにくるまってたんだけど、ここにはないからさぁ……ソファーに敷いてあるふかふかを借りて被って待ってたんだよ―!もう恥ずかしいったら」
心底困って涙目になって潤む瞳、顔は赤面して恥ずかしそうにしている顔は酷く魅力的で、フリルから透けた白い太ももがやたら色っぽい……
つかちょっと待て……こんな姿は……
素早く着ているローブを脱ぎ才にかけてやる。そして全身が見えないように包みこみそのまま抱き上げた。
「うっわ!」
「じっとしてろ。動くと見えるぞ」
「は、はい!」
……こいつスゲー軽い……
世界が異なり身体の造りも違うからなのか?抱き上げていると身体の細さがよくわかる。
「ノラ、書類は机の上だ。持って行け」
「……」
「ノラ聞いてんのか」
「え!あ?は、はい!」
アホみたいにボーっと突っ立っているノラとコナーの前を横切り自室を後にした。
ともだちにシェアしよう!