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第31話

そう……この格好が実は非常におかしいということに気がついたのは着替えさせてもらった後だった。 普通の服にしては生地は薄いし、大事なところはちゃんと見えないようになってはいるものの、脚のラインとか胸とかちょっと透けてて何と言うかエロいのだ。 アイドルの可愛い子とかが着ていたらそりゃエロくて可愛いんだろうなって感じだ。 しかし着ているのは俺だ。 残念ながら男の俺が着ている…… 現実の世界ではないというちょっとした特別感と、お世話してくれたお姉さんたちの色っぽい雰囲気が俺を麻痺させてしまったんだと思う。 「とっても良くお似合いでございます!」 にっこにこのルースがそう言って俺を褒めていたけど、ルースが退席し一人部屋の椅子に座っているとリアルにもどってしまったのだ。 何着てんだ俺。 この格好はないだろ……歩くだけでヒラヒラほわほわ揺れるスカート&へそ出しファッションだ。 首やら頭やらには豪華なアクセサリーを飾られひらりと揺れるベールが視界を邪魔する。 寝室からマリーの自室へ移動するとさらに自分が滑稽な姿をしている気がしてソワソワしっぱなしだった。 豪華な部屋は威厳があり、明らかに俺はこの部屋にふさわしくない格好をしている! 長いピカピカのソファーの端っこにちょこんと座ってみたけど、落ち着かない。 穴があったら入りたい。 どうしようどうしようと焦っているところで扉が勢いよく開き、心底驚いてしまった。 入ってきた一人がマリーだとわかったけど、ソファーの後ろに隠れそこから動くことができなかった。 だってこの格好はヤバいだろ! 俺に気がついてきたマリーは、薄いグレーの長いローブを身にまとっていてそれがとてもよく似合っていて素敵だった。 泣きそうになりながら話をすると、そのローブをかけてくれ、ひょいと抱き上げてくれる。 こんなにも軽々俺を抱き上げるってどうなってるの? そう疑問に思いつつもローブに全身が包まれてホッとした自分がいた。 それにマリーの体温が温かくて心地いい……

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