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第35話
「え、え……え」
「全力で身体のお前の動きを封じてたのに、易々とそれを解いて殴られたことは正直ムカツいたけど。その怒りも才にここで会った時点で吹き飛んでしまった。ちょっと待て着替えを用意させる」
マリーはベッド脇の棚の上に置いてある小さベルを鳴らした。
嫁だの花嫁だの勝手なこと言いやがって。
そう思っていたし、こんな事態になりつつもどこか他人事のように考えていたから……
目の前にいるマリーのことを好きになる?
俺が?
な、な、何で!?
ベルを鳴らしてこちらへ戻ってくるマリーをガン見しながらじわじわ鼓動が速くなる。
長い髪をサラサラと揺らし、明らかに美人でイケメン……マジで美人……俺より身長高いし、細身のくせにマッチョだし……お姫様抱っこされたし、それでやっぱりイケメン!
……しかも!!
お、お、王子様!!!
かあああああぁぁぁ……
「……ん?顔、真っ赤……あぁ何?今頃意識したとか?」
フッと笑ったマリーの何とも言えない色っぽい顔が近付いてくる。
「い、いやいやいやいや!そ、そんな……こと……は」
頬にマリーの手が触れるだけで、心臓がバクバクしてきてとても煩い。
「……意識して?俺のこと……もっと……もっと」
「!!」
色っぽい囁き!
ふわりと抱きしめられて、頭から湯気が出そうになった!俺、今口説かれてる!優しく抱きしめられて頭の中は真っ白だ。
何言ってんだこの人!
「あ、あの!マリー!ちょっと本当……待って!そういうの俺良くわからないんだけど!ほら俺お、男だし!そう!男だし!」
「だから?あぁ俺そういうの拘らないよ。寧ろ女嫌いだから才が男で良かったって思うし」
「だけど!あの!それじゃほら!こ、子どもつくれないし!世継ぎがなんとかって言ってたし!」
「世継ぎ?そんな心配?」
チュ
チュ
なんかなんか頬っぺたに沢山キスされてんだけどぉ!!!
「そんなこと気にするな。何人でも作れるようにしてやる。俺体力には自信あるから……才が望むだけ……頑張れるぜ」
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