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第37話(2)国
それから俺は、マリーの部屋で本当に生活することになってしまった。
異世界ラーーイフ!
アンビリーバボー!だぜーー!
ベッドは二人で寝ても十分な大きさ広さなので全く問題はない。
俺は毎晩ベッドの端で眠るのに、朝になると何故かマリーに抱きしめられてど真ん中で寝ているのだ。
ほとんど抱き枕状態でマリーがしがみついていて離れない。
気がつくとマリーの腕の中で目が覚める。
……何故だ。
マリーの腕が俺身体を抱きしめているのは仕方がないとして、目が覚めた時何故か俺もマリーを抱きしめていたりするから訳がわからなくなる。
寝ている間に俺は何をしてるんだ。
今日は目が覚めたら、横向きに寝ている俺の後ろからマリーが抱きしめていた。
……背中があったかい。
マリーの美しい長い髪がサラリと俺の肩にかかっていて、何気なくそれを手に取り触れてみる。
不思議な色をしているのでついつい眺めてしまうのだ。
寝起きの頭が働かない状態で指に絡めて遊ぶ。綺麗だよなぁ……毎日洗ってるのかな?
洗うのに時間かかるだろうなぁ~。
そんなことを考えながらだ。
「……ん、才……」
「う……あっ」
もぞもぞとマリーが俺の身体を引き寄せる。
強く抱きしめてきて、耳元で優しく囁かれた。
「髪を触るなら、俺の身体を触って欲しいんだけど」
「いや!いやいやいや!大丈夫!十分です!もう起きるから離して」
マリーの腕からするりとすり抜け、ベッドから起き上がり早々に着替えを済ませた。
こ、こんなドキドキしたやり取りが毎日続くのか……
と思いきやそうでもなかった。
マリーが夜帰らないと時がたまにある。
そんな時は一人で広々ベッドを独占できるのだ。
俺の着替えは白シャツに黒とか灰色のパンツのシンプルな物。
なるべく動きやすいものがいいと強い希望を出して、乗り気じゃないルースに選んでもらったものだ。
この格好なら学校の制服に近いので着やすいし動きやすい。
マリーは着替えを済ませた後はすぐに出掛けてしまうことが多かった。
マリーはこの国の王子様で色々やることがあるらしい。
……王子様って優雅に生活してるんじゃないんだなぁ……
ふむ……王子って実際は何してるのか良くわからない。
一人でのんびり朝食のパンみたいなパンをモグモグ食べなから思った。
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