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第40話
「マリーのご両親はとても素敵な方ですね」
「そうでごさいましょう。この国には無くてはならない大切な御方でございます。王妃とマリー様は血の繋がりはございませんが、王妃はマリー様のことを我が子のように大切にしておられます」
え、そうなの?
「……王妃様はマリーのお母さんではないんですか?」
「はい、マリー様は第11王子でございますが、マリー様を産んだ母君はマリー様を出産後すぐに亡くなられたと伺っております。王妃のお子様も産まれること間もなく亡くなられてしまいまして……」
「そうなんだ……第11……ってマリーには後10人兄弟がいるんですか?」
「本来でしたら……ね。現在はマリー様おひとりとなってしまわれました。死産であったり生まれつき身体が弱かったりと……生きても病に勝てず亡くなられてしまいまして」
「……そんな」
「マリー様は幸い健やかに御成長されて今日に至るわけです。強く美しくなられました」
「……」
……
そうなんだ。
マリーにそんなに兄弟がいたことも、あの王妃様がマリーの実の母親じゃないことも初めて知って驚いた。
兄弟が皆亡くなっているなんて……悲しいな。
「健やかなのはいいが、もう少し自分の立場ってものをわきまえて欲しいものだな」
後ろから声がしたので振り返ってみると、知らない男性がこちらに歩いて来る。
体格ががっしりとしていて、見るからに強そうなルースよりも年上そうな男の人。
豪華な身なりからして俺でも王族だとわかる。
「……これはシャラ殿下お久しぶりでございます」
「ルース、相変わらず綺麗な顔をしているな。……あの御守りも大変だろう。我慢できなくなったらいつもで来い。悪いようにはしないぞ?」
「御気にかけてかけていただく必要は御座いません。本日は何か陛下にご用で?」
「まあそんなものだ。それと王子のお相手が見つかったというので一目御挨拶したくてな。こちらがそうかな?」
シャラという奴がちらりと俺を見て微笑んでいる。
ちょっと渋い感じの人だなぁと思いつつ、ぺこりとお辞儀をした。
「はは、意外にも可愛らしい子を選んだものだな。戦闘力はなさそうだが、いい子を産んでくれそうな身体をしている」
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