42 / 88

第42話

「あ、あの今暗殺って……」 「はい、そうでございます暗殺です。才様とマリー様の初対面もまさにその様なシチュエーションだったのでは?」 「……え……俺達の初対面……」 初対面は…… 真夜中にひとんちの二階に窓から不法侵入……気配を消し謎の金縛り、素早い動きで煙のようにあっという間に逃走…… あぁ……なるほどそれっぽい。 って!!! 「あ、暗殺って!聞いてない!!」 「おや、そうでしたか?マリー様は暗殺のプロで御座いますよ」 プローーー!!!! 「それって!殺し屋ってことだよね」 「まぁ……左様で御座います。才様の世界とは異なりまして、こちらは血の気が多く争いが絶えません。他種族との争いがほとんどですが、日々何かしらの血が流れております」 「……そんな」 「戦わなくては殺られる。支配される。そんな世界です。最近はまだ穏やかになって来た方で御座いますが、まだまだ問題はつきません」 「まさかそんなことがこの世界で起こっているなんて知らなかった……」 そんな話を聞くと急に怖くなってくる。 確かに地球にも戦争をしている国はあるけど、平和な国に住んでる俺からしたら現実味が全然ない。 だけど……マリーが……暗殺とかって……本当? 「才様……」 「ルースごめん。ちょっと疲れちゃったから一人にしてくれないかな……」 なるべく普通の笑顔でルースに話しかける。 顔色が悪いと心配されたけど、無理やり追い出してしまった。 「はぁ……」 マリーの自室の椅子に腰掛けて一人ため息をついた。 広い部屋は書斎といった感じで、沢山の本が壁の棚に収められ、机やソファーが置かれている。 大きな窓からは外の景色が眺めることができるけど、ただ美しい城壁と空の景色が広がっているだけだった。 ……どうしよう…… 俺って何にも考えてなかった。 この国がこの世界がどういう所か…… ルースから説明された、美しく綺麗な世界ってイメージしかなかった。 「馬鹿だなぁ俺……」 ここはリアルで戦争がある国なんだ。 マリーがしていることはこちらはでは普通のことなの? 殺戮って……なんだよ。 マリーは今この瞬間も戦場にいるのかな。 手が……冷たい。

ともだちにシェアしよう!