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第46話

「ルース!だってヴァーノンさんが死んじゃうよ!あれは!」 「そんなことよりも、そんなことより才様!!あなたは何を考えていらっしゃるんですか!あんなあんなこと!」 「誤解だよ!あの人が行き成り俺のこと引っ張ってきて」 「誤解でもなんでも!あんな光景をマリー様がご覧になられたら才様あなたも御無事でいられるかどうか!」 マリーの寝室へと帰って来るなり、ルースは叫ぶように言葉を吐き出した。 そうは言っても俺だってどうしてこんなことになったのかさっぱりわからない。 あのヴァーノンって人が勝手にやったことだ! 「だって俺……」 ガチャリと扉が開く音がした。 無表情のマリーが入ってくるなり、俺の心が凍り付く。 ……え、なにその姿…… マリーの顔や服には無数の血液が付着しており、見るも無残な姿になっていた。 「才、お前は俺が不在の間、ヴァノに手を出したのか」 「そ、そんなこと……」 「そんな奴だったのかお前……俺がこの俺が選んだ……のに……」 「ちが、違うっ……!」 「そんなに帰りたいなら……とっととうちに帰れよ……扉こじ開けてでも帰れ……ルース」 「はい」 「……連れて……行け……」 ……冷たく暗い瞳は俺を見ない…… 蒼白な顔は死人のようだった。 これ以上声を発してはならない張り詰めた空気。 それになによりも俺の心を奪ったのは、マリーに纏わりついていた鮮血だった。 綺麗な顔にも髪にもついていて、衝撃的な光景で足が全身が動かなかった。 ……震える身体……目が離せない…… マリー…… 「……」 ルースに支えられるようにその場を立ち去る時、マリーの脇を通り過ぎるときにマリーの腕に何とか触れてみたけれど、 パシッ 直ぐに払いのけられてしまった。 顔も見てくれないその態度は、俺の存在を否定しているようで、心がズキンと痛んだ。 「才様。こうなっては仕方ありません。一度ご自宅へお送り致します」 「え、でも白の扉は閉まっているんじゃ……」 「はい、それは嘘です。全然嘘でして」 「はぁ?」 「細工はお手のものでして、まぁいいです。どうなるかわかりませんが、暫くは自宅待機でお願い致します。……わたくしは才様のお傍にいることができませんので……こちらをお持ちください」

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