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第50話
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「帰って来てからずっと溜息ばっかついてんじゃん。頭の中、石油王のことでいっぱいって感じ~?ねぇどんな人だった!カッコいいの?おっさん?その人ホモなんでしょー?」
「……ホ、ホモって!……知らないけど、凄く綺麗な人だった。おっさんじゃない……いくつかは知らないけど、俺よりちょっと年上……っぽい。で、スゲー髪が長い」
「え、いくつか知らないの?年上のロン毛かぁ~チャラそうだなぁ。才ちゃんそういうの好みなんだ」
「……ロン毛って……それにチャラくねーし。それに……好きじゃ……ないし……」
好き……じゃ……ない。
多分……
ロン毛でチャラいって、爽良の頭の中にはかなり違うマリーが出来上がっているような気がする。
「ふーーーん。じゃぁ好きでもないのに何をそんなに悩んでるの?あ!逃した獲物は大きかったとか後悔してる?」
「……獲物って……違うよ。ちょっと喧嘩したんだよ……誤解されたままで、話もできなくて帰ってきたから」
「え、仲直りしてないの?才ちゃんが?誤解って何」
「んーしてないのにしてるって思われて、それが凄くいけないことで……」
「は?じゃぁ才ちゃんが悪いことしたって思われてるの?それ駄目じゃん!」
……う……そんなの……
「そんなのわかってるよ。でも仕方ないだろ……向こうは超怒ってて聞く耳もたないんだから。……それにスゲーヤバい奴なんだよ」
「ヤバいってなんだよ。ワタシ臓器売買してマース!とか言われたの?DV野郎だったとか?人の話を聞けないそんな小学生みたいなガキのこと、ずっと考えてはぁはぁ溜息ついてる才ちゃんこそヤバいっての!」
ぞ、臓器……DV……って……どこでそんな言葉を覚えたんだ小学生!
それにマリーの事をガキだなんて……
「んなこと本人が言うわけないだろ!それにマリーはそんなチャラ男じゃないって!!」
「マリーっていうの?女?ホモじゃないの?それに本人が言ってないのに鵜呑みにしちゃう才ちゃんって才ちゃんっぽくない。本人に聞いて確かめなよ。俺には友達と喧嘩してもちゃんと話して仲直りしろって言うのにさ!溜息超ウザいから禁止ね!禁止!じゃ、ばいばい!」
バタン!!
……
お、弟にウザいって言われた……
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